『ラヴェニール文明の糸 ─ 光糸と輝糸』(ルージェ・ネヴィルーズ)
レビュアー:ヴェリアート糸博物館
世界中の「糸」を収集・展示する「糸」の専門博物館。
本書は、生物の「色」についての世界的権威にして、ラヴェニール文明の非常に美しい伝統織物「光織り」などに使われていた、光糸と組み合わせて使われていた美しい輝糸(きいと)が、生物の構造色を応用したものであったことを解明し、また、その技術の復元に成功したことで知られるルージェ・ネヴィルーズ自らが、名著『輝糸の研究』の内容を一般人向けに、やさしく専門用語を使わずに面白く書いた科学読み物である。
「美の文明」と呼ばれ、今なお、多くの人々を惹きつけるラヴェニール文明時代に生み出された光糸や輝糸が、光織やリューズの衣装や舞剣の柄などに使われていたことなど、興味深いトピックを取り上げ、生物の構造色などについて、そしてその構造色をどのように糸として応用したのかなどについて、詳しく、ただし数式などは一切使わずに解説する。
特に、ヴァリド・イルーディス監督による歴史的傑作『一夜限りの音』で、ルナレティー役のイーレイ・ネイレルの為に作った衣装が、光糸や輝糸を使って織られたものだと聞けば、身近に感じられ、それに絡めての解説には引き込まれてしまうだろう。