『サバクレムンのプレゼント』(ラゴル・ジルディ)
レビュアー:『レムンの本棚』
レムン倶楽部による、レムン関連書籍の紹介サイト。
レムン倶楽部は、レムン愛好家達によって創設された、セレンディール文明誕生以前から存在する、極めて古い歴史を持つ組織で、世界中に支部がある。
レムン研究、レムンを題材とした芸術、工芸、音楽など、レムンに関する様々な分野の優れた業績に対し授与される賞であるレムン賞の授与や、レムンに関連する本や芸術、研究、保護活動などの紹介および援助を積極的に行っている。
ルドルーズ砂漠で、世界最小のレムンであるルドルーズサバクレムン(以下サバクレムンと略す)の研究をしていたラゴル・ジルディが、彼らになつかれ、「プレゼント」をもらうようになってしまったのは、レムン好きには有名な話。
本書は、そのサバクレムン達による贈り物のデータ集という、実にマニアックな・・・・・・もとい、レムン愛好家にはたまらぬ素晴らしい本。もちろんロングセラーである。
「贈り物」は砂漠の果物や多肉植物、虫など様々だが、特に面白いのが、「クルム石」だ。クルム石というのはもちろん、『砂海流し』でおなじみの、あの石、ルドルーズ砂漠を旅する人々が、安全を祈って、砂漠に置いていく、クルムの形に彫った石の彫刻のことだ。そうやって、はるか古代から砂海に放流され続けてきたクルム石を、これまた古代からこの砂海で暮らしてきたルドルーズサバクレムンが拾ってきて、人間にプレゼントしてくれるとは、何とも浪漫にあふれる話ではないか。
なお、このエピソードを基に、紫銀旋律画家として知られるナリド・アレイが創作した旋律画作品『砂海のおくりもの』は、現在でも読み継がれる童話旋律画作品の名作である。
ちなみに、著者ラゴル・ジルディ自身が「放流」したクルム石は、彼が友達になったサバクレムン夫婦の巣穴にしまわれているそうだ(裏表紙の写真がそれだ)。
レムン達の知性の高さに感心させられる貴重なデータでもある。果実などの食べ物もよく持ってきてくれているのだが、数千回にも及ぶ食べ物のプレゼントの中に、有毒なものは一つも無かったという。これは、他のレムン研究者や愛好家も、経験的によく知っていることである。飼育されているレムンならまだしも、純粋な野生種であるルドルーズサバクレムンがこのような「選別」をしっかりした「プレゼント」を持ってきてくれるとは、実に驚くべきことだ。
レムン研究者の間では、この本の話のネタに、「私は、モリウチムシをプレゼントされちゃいましたよ」「ははは!」みたいに盛り上がるとか。
ルドルーズサバクレムン
名前の通り、ルドルーズ砂漠に生息するレムン。レムン最小種。全長50cm前後。夜行性。岩や植物に接した巣穴を掘って昼はそこで過ごす。
