『13の絵本』(ラドウィーヴ・ディーレン)

レビュアー:レビュアー:メゼル・イーディン『本を読めば暇じゃないよね』

ルクトレスの文学者、カイズ・セタリ研究者、エリル・イーレア文学院教授。主に文学が政治や経済、他の芸術に与える影響についての研究が専門。

『カイズ・セタリとレゴール — “微笑み”が超大国で憎悪されたのは何故か』でルウェイン学術賞、『物語の生贄』でセレンディール図書館賞を受賞。

世界横断都列車で無料配布されている雑誌『暇つぶし』で連載しているブックレビュー『本を読めば暇じゃないよね』が、ユーモアのある文体で大人気。単行本はベストセラーとなっている。

主な著作に『カイズ・セタリとレゴール — “微笑み”が超大国で憎悪されたのは何故か』『物語の生贄』『ベストセラー分析 ─ 億を超える人に読ませる力の源はどこにあるのか』『本を読めば暇じゃないよね』などがある。

危ない絵本である。これは洗脳書だ。可愛らしい絵柄にだまされてはいけない。「13」の狂信者であるラドウィーヴ・ディーレンが、あなたのお子さんを、数、というより「13」の世界へ引きずり込もうという凶悪な絵本である。

まず、もふもふの可愛いレムンが主人公である時点で、あざとい。まぁそのレムンが縞模様で、縞の本数が「13」本なのは別段、驚くほどのことでもない。ふふん、可愛いもんだ。だが、騙されてはいけない。読み進めると、徐々に本性を剥き出しにしてくるのだ。

ムーフィが1匹と3匹の順にならんでいるよ。全部で何匹いるかな、足し算の式にしてみよう!と優しく語りかけるが、何のことはない、「1+3+1+3+1+3+1=13」と言わせたいのだ!視界に入る「13」、多すぎませんかね!

そしてもふもふのムーフィのシッポの縞模様を数えてみるがよい。「13」本だ!とことこ歩いている主人公のレムンの可愛い足跡も、「13」個だ!ああ、背景のレンガ塀は「13」段で、その奥に見える木の数も「13」本(しかも果実の数も13個!模様のまだらも…13!)ではないか!ん?奥の家の窓から見える部屋の中にある、子どもが散らかした積み木の数は・・・・・・「13」!おや、積み木が散乱している横でクルムの図鑑が開きっぱなしに・・・・・・あの見間違えようのない特徴的な姿はハッコツタマクルムだな・・・・・・1匹じゃないか・・・・・・あああハッコツタマクルムは「十三大タマクルム」だ!

まさか・・・・・・何てことだ、この絵本に使われている色は、「13」色だ(しかも、色数を数えるよう優しく、自然に誘導する)!

後半に入ると、凶悪さが増す。

「ページごとに、紙が違うの、おもしろいでしょう?どんな紙があるか、手触りとか色とかをメモして、全部見つけてみよう!」

「13」種類の紙ですね・・・・・・探さなくてもわかります。

ああ、恐ろしい。こんな絵本を読んで育った子供は、街を歩いても家でも、「13」ばかり探すような人間に育ってしまうだろう!私の子は、すでに洗脳されてしまった・・・・・・。嬉しそうに、「13」を見つけてくる!日々、計算力、観察力、推理力、想像力が尋常でないスピードで成長してゆく。どんな人間に育ってしまうのか・・・・・・。

というわけで、ちょっと怖いけどお薦めである(「13」信者より)。